技術的体験論文においては、「技術士としてふさわしいか」ということを常に問われています。
「技術士としてふさわしい」とは、抽象的な概念でわかりにくいですが、まず一番多い勘違いは、「技術士としてふさわしい」=「学術的に難しい」というものです。技術士は、学者ではありません。
技術士に求められているのは、最適化です。顧客や社会の利益を最大化することです。
そのためには、プロジェクトや業務について、正しい目標を設定し、制約条件を認識し、最適な対応をとること、さらに、その成果を検証し、改善していく一連の活動能力が求められます。
例えば、難しい技術より、汎用の技術や製品を活用し、所定の品質を低コスト、短工期で達成していくことが重視されます。
難解な学術用語を並べて、こんな難しい業務をやりました、あるいは業務金額や規模を強調し、こんな大きな業務をやりましたという体験論文は、かならずしも「技術士としてふさわしい業務」ではありません。
問題発見、検討・提案、成果、現時点での評価というストーリーに忠実に沿った展開の中で、技術士らしさをアピールできる業務を体験論文とする必要があります。